漫画とキャラクター

『ポクちゃん』で始まったかつぢマンガ。その後『(なぞ)?のクローバー』『ピチ子とチャー公』『板チョコ三人組』等を発表し、1938年にスタートした代表作『くるくるクルミちゃん』は第二次世界大戦を経て35年間にわたり連載されました。

かつぢはこれらのマンガをキャラクター化し、現代のキャラクタービジネスのパイオニアとして文房具や小物などのグッズを制作・販売。その活躍から商業デザイナーとしても地位を確立しました。

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クルミちゃん

昭和13年に生まれたクルミちゃんは、戦争中には一度終了するも戦後見事によみがえり、数多くの雑誌をまたいだ長期にわたる連載で広く親しまれるようになりました。明治時代の女学生の間で流行ったリボンつけ、デビュー当初からボーイフレンドまでいる明るく愛らしいクルミちゃんは、偽物のキャラクターグッズが出回るほどの人気者となりました。

それまでは骨格や関節がきっちり描かれていたかつぢマンガですが、クルミちゃんの造形では頭を大きく手足の長さをちぢめ、三頭身近くまで変形させました。等身大のキャラクターから典型的なマンガスタイルへと巧妙に作られたクルミちゃんは、戦後は二頭身までデフォルメされ、今も人気のうさこちゃんやハローキティの造形に先駆けました。

戦後復活したクルミちゃんのキャラクターは、造形が変わるとともにその年齢も当初より幼く設定されました。二頭身までデフォルメされ可愛らしさを増したキャラクターには、どこか飄々としているところが受け継がれています。

戦前のマンガシーンを独自に開拓してきた松本かつぢは、クルミちゃんにたどり着くことで、ついにキャラクターそのものの魅力をマンガの世界を超えて存分に描き出しました。そんなかつぢのキャラクターの魅力は、カワイイの元祖であるとともに、格好良くて粋なところにあります。

ハームとモニー

昭和35年〜45年にかけて手がけたコンビのベビー食器のデザインの為のキャラクターとして誕生。

誕生する赤ちゃんが男の子でも女の子でも使える様に、との希望に沿ったキャラクターとして女の子(ハーム)と男の子(モニー)を描きました。

愛らしい2人の赤ちゃんが動物とたわむれるイラストが大人気を博し、『コンビ株式会社』の社名の由来となるほどの売れ行きとなりました。

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?(なぞ)のクローバー

少年少女漫画が黄金時代を迎えた昭和9~10年、かつぢは『少女の友』のほかにもライバル雑誌である『少女倶楽部』や『日本少年』にも連載する売れっ子作家になりました。

『少女の友』昭和9年4月号では、本誌の2倍のサイズの別冊付録に12ページのオールカラーマンガ「?(なぞ)のクローバー」を掲載。主人公の少女が覆面のヒーローとして少年少女たちを導き、村を襲った悪漢を退治するという本格的な物語で、前半ではむき出しの暴力と人の悲劇的な死が描かれるという、当時の漫画としては破格な作品でした。

大きな判型を四段組みにしたコマ割りでは、コマの大きさの緩急や二段ぶち抜きをコマの絵の構成と結びつけた動的かつ多角的な視線誘導を導き出し、戦後マンガの名作と遜色ない極めて洗練された画面構成を達成しました。あまりに早すぎたせいか伝説にも残っていなかった事実を考えると驚くべき傑作です。

ピチ子とチャー公

『少女の友』において昭和8年から12年にわたって続いたかつぢ初の連載マンガ。ぴちぴちと若く、元気で躍動感があふれ、健康的で行動的かつ知性の輝きを感じさせるピチ子が、雑誌の読者である少女たちの等身大キャラクターとして共感を生みました。この中でかつぢは、抒情画とさし絵で鍛えた造形を応用し、マンガの中でさっそうと躍動するキャラクターを描いています。

昭和9年8月号には「ピチ子とチャー公 湖畔の一夏」が本文48ページの別冊付録として掲載されました。これはそれまでとうって変わり、判型を小さくして1ページに定型2コマずつ、見開き4コマ構成で展開。ピチ子が華麗にアニメーションのように木を登る一連のコマの流れなど、かつぢならではの表現を存分に描きました。

このほかにもかつぢは数多くの1コマ形式の叙情マンガを描いており、後には学園マンガの元祖のような作品を描いたりと、私たちが思いもよらぬほど戦前のマンガ表現を発展させていきます。「ピチ子とチャー公」連載終了後、ただちにかつぢは新しいキャラクター『くるくるクルミちゃん』を生み出しました。

Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake Cover
Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake - Intro
Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake - P32-33
Pichiko To Chakoo - Camping - Cover
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Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake Cover
Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake - Intro
Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake - P32-33
Pichiko To Chakoo - Camping - Cover
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『板チョコ三人組み』(お山の一夏)

『少女の友』昭和11年8月号の付録の長編マンガ。仲良し三人組が夏休みにジープに乗って山へキャンプに行き、様々な冒険をしたり悪者を退治したりと大活躍な物語で、読み進んでいくうちにアニメーションを見ている様な錯覚すら覚える、見事なスピード感と表現力が素晴らしい作品です。

ポクちゃん

『少女倶楽部』『少女画報』で昭和4年に発表された、少年「ポクちゃん」と少女「リョーチンさん」 が主人公の作品。かつぢの一番弟子・上田としこが戦後に生み出した「フイチンさん」は、このポクちゃんへのオマージュであるとも言われています。

Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake Cover
Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake - Intro
Pichiko To Chakoo - One Summer At The Lake - P32-33
Pichiko To Chakoo - Camping - Cover
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