クルミちゃん
昭和13年に生まれたクルミちゃんは、戦争中には一度終了するも戦後見事によみがえり、数多くの雑誌をまたいだ長期にわたる連載で広く親しまれるようになりました。明治時代の女学生の間で流行ったリボンつけ、デビュー当初からボーイフレンドまでいる明るく愛らしいクルミちゃんは、偽物のキャラクターグッズが出回るほどの人気者となりました。
それまでは骨格や関節がきっちり描かれていたかつぢマンガですが、クルミちゃんの造形では頭を大きく手足の長さをちぢめ、三頭身近くまで変形させました。等身大のキャラクターから典型的なマンガスタイルへと巧妙に作られたクルミちゃんは、戦後は二頭身までデフォルメされ、今も人気のうさこちゃんやハローキティの造形に先駆けました。
戦後復活したクルミちゃんのキャラクターは、造形が変わるとともにその年齢も当初より幼く設定されました。二頭身までデフォルメされ可愛らしさを増したキャラクターには、どこか飄々としているところが受け継がれています。
戦前のマンガシーンを独自に開拓してきた松本かつぢは、クルミちゃんにたどり着くことで、ついにキャラクターそのものの魅力をマンガの世界を超えて存分に描き出しました。そんなかつぢのキャラクターの魅力は、カワイイの元祖であるとともに、格好良くて粋なところにあります。